中央銀行はブロックチェーンをどう使いこなすか?
ブロックチェーンという言葉があちらこちらで聞かれるようになったのは、昨年2017年くらいだろうか。
もともとは仮想通貨ビットコインを支える為の技術であったが、今は様々な用途で取り扱われるようになっている。
そんなブロックチェーン。技術面での評価が期待されており、各国の中央銀行でも注目されている。
なぜ、各国でブロックチェーンが注目されているのか。日本ではどうなるのか。
今回は、国から見たブロックチェーン技術について語ってみる。
各中央銀行は、ブロックチェーンで独自の仮想通貨をつくることを狙っている
この記事によると、日本銀行とECB(欧州中央銀行)がブロックチェーン技術の実用化を目指した実験を共同で行っているとのこと。
また、英ケンブリッジ大学のCCAF(ケンブリッジ・センター・フォー・オルタナティブ・ファイナンス)の調査によると、各国の中央銀行でブロックチェーン技術を強く支持している、とのことだ。
ブロックチェーンは、低コストでデータの改ざんやハッキング防止が出来るので、各国の中央銀行は注目している。今後も市場は広がっていくだろう。
しかしそれは、ビットコインなどの使用を目的としているものではなく、各々の中央銀行が独自に発行したコインを普及させることを目的としているようだ。
なるほど、ビットコインやイーサリアムといった既存の仮想通貨には関心は無く、あくまで自分たちが発行する通貨の幅を利かせることを狙っている、ということか。
なぜブロックチェーンを使用するのか
先にも述べた通り、ブロックチェーンは低コストでデータの改ざんやハッキング防止をすることが出来る。
加えて、送金が速く、かつ手数料が安く済む。
そして、取引の記録が全てブロックチェーン上で保存されるので、どこにどれだけお金があるのかが明確になる。
国としては、誰が、何処に、どれだけお金を持っているかがハッキリ理解しておきたいんだろう。
そうすれば誰にどれだけ税金を払わせるかが分かりやすくなるから。
ブロックチェーンの技術的な話は、コチラをご覧ください。
Jコインは普及するかどうか
日本でも、オリジナルの仮想通貨が誕生しようとしている。
しかし、日銀が発行するのではなく、メガバンクや地方銀行が共同開発するものだ。
それがJコイン。
これは日本円と価格が連動するものであり、仮想通貨のように価格が大きく動くことのないものである。
決済手段としてあちこちで導入すれば、電子マネー感覚で使用することができるだろう。
似たようなものだと三菱東京UFJが開発しているMUFGコインというのもあります。
これも日本円と連動するものとなっています。
他のサイトですが、ここで詳しく書かれています。
Jコインの特徴として
・ビッグデータの情報を頼りにマーケティングを行う事で、経済的利益を生み出すことに繋がる。
・キャッシュレス化させていくことにより、ATM維持費用も大幅にカットすることが出来る。
・現金の取り扱いが減る事により人件費も減らせる。
などが挙げられています。
中でも「キャッシュレス化」の部分は、個人的には大きいのかなと思っています。
そして、僕がこのことに付け加えたいことは、「ブロックチェーンを広く認知させる下地が出来る」ということ。
どうしても、仮想通貨というと「危険」「胡散臭い」というマイナスイメージがあり、ブロックチェーン産業も伸び悩んでいるように思えます。
Jコインなどのステーブルコイン(法定通貨と価格が連動した仮想通貨のこと)が普及することで、ブロックチェーンのイメージが良くなるのかな、と考えています。
まとめ
各中央銀行は、独自の仮想通貨を作ろうとしています。
しかしこれは、既存の仮想通貨の存在を認めたわけではない。むしろ逆で、それらに対抗すべく作られるモノである。
フィンテックの進展により、銀行は存在そのものが危うくなってきていますからね。
送金手段としてブロックチェーンや仮想通貨を使うことができるし
資産運用はロボアドバイザーのようにAIがやる時代になりつつあるし
融資はクラウドファンディングで募れる時代だ。
そういった社会の動きに対抗するには、自分らも同じ土俵で戦うしかないのです。
国としてもブロックチェーンを使うメリットはある。どこにどれだけお金があるのかが見えるようになるからですね。
日本でもメガバンクが主体となって独自仮想通貨が開発されようとしている。
どれだけ普及するか。
今後に期待ですね。